デザイン経営の実践事例(辰野 博一 ショートエッセイ)
「デザイン経営」の実践に関する事例を紹介します。2月19日付の日経電子版では、鋳物ホーロー鍋ブランド「バーミキュラ」のECサイトなどを手掛ける名古屋市の企業スタジオディテイルズが紹介されています。バーミキュラは、同じ名古屋市の老舗鋳造メーカー愛知ドビーが手掛ける鋳物ホーロー鍋で、それまでの下請け事業とは異なる自社ブランド製品として2010年に発売され、市場での評価を受け徐々に売上を拡大していきました。
バーミキュラのブランド確立

スタジオディテイルズは、2016年の炊飯器「RICEPOT(ライスポット)に発売するタイミングで、ユーザーにライフスタイルを提案するブランド体験として「鍋を使うその先の価値」を提案。食材や料理と一緒に鍋が食卓に並ぶビジュアルで「世界一おいしいご飯が炊ける炊飯器」のある生活を目指し、バーミキュラのブランドを確立しました。現在は、ブランドムービーや公式ECサイト、ウェブサイトやカタログ、アプリケーションも含む様々な顧客接点のクリエイティブを担っています。

 

スタジオディテイルズは、デザインチームとストラテジーチーム(ブランド戦略の立案を担当)が一体で動ける組織を目指しています。タッチポイント(顧客接点)における課題解決を依頼されることが多いものの、そこでいきなりインターフェースをデザインするのではなく、綿密なインタビューを通じて「本質的な課題がどこにあるのか」「その課題を解決するための戦略をどう立てるか」「どういう表現にすればその意図がユーザーに届くか」を議論します。ストラテジストやディレクターのみならず、デザイナーやエンジニアがインタビューに同行することもあります。

 

また、普段のプロセスでは、ストラテジーチームがまずブランドの体験を設計した上でデザインチームに引き渡す形でプロジェクトが進行するものの、プロセスの途中でデザインからストラテジーに「逆流」することもあります。すなわち、デザインチームから「体験設計をこう変えてはどうか」などと戻ってくるケースがあるといいます。

デザイン経営は「デザイナーが経営の上流から関わること」
このようなプロジェクトのスタイルは、まさに「デザイン経営」のあり方を体現したものといえます。デザイン経営では、デザイナーが最上流から計画に参加する、すなわち、事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザイナーが参画することが要件となっています。また、観察⼿法の導⼊により、顧客の潜在ニーズを発⾒することを、チーム全体で行っていますが、これはデザイナーの思考プロセスを問題解決手法に落とし込んだ「デザイン思考」で採用されるプロセスであり、やはりデザイン経営の必要要件の1つです。
バーミキュラの製品は、調理器具としての機能性とデザイン性の高さで評価されていますが、その背景にデザイン経営の実践があることにも、是非注目して頂ければと思います。
<参考>
・2024年2月19日 日経電子版「バーミキュラECサイト 『泥臭さ』と『戦略』の融合」 詳しくはこちら→
・2018年5月23日 経済産業省・特許庁『「デザイン経営」宣言』  詳しくはこちら→
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